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自分のせいになんかしない

しろしろ

自分のせいになんかしない

しろしろ

 人と会うことがめっきり減った。ふさぎ込むことが多くなった。 平日も休日も変わらず、何をするでもない。 基本横になって、気が向いたらNetflixで適当な映画を見る。 ホラー映画くらいの寄る辺のなさが、ちょうどいいのかもしれない。

 特にこだわりを持って見ているわけではないので、 基本箸にも棒にも掛からないような作品が多いのだけれど、 半チャーハンに勧められた『ザ・ベビーシッター』が続編も含めて面白かった。 やっぱり友達というのは大事だなと、変な思いになったりした。

 思えばユリシーズと行った千葉の温泉宿の主人に 「友達が一番大事だよ」と言われたことがその後も自分の中に深く残っている。 思いもしないところで言葉が心臓をすり抜けていく。  日常の中にある何気ない瞬間こそが、人生の醍醐味のように思える。

 例えば『月光の囁き』のラストで流れるスピッツの「運命の人」のように、 普段聞いてもなんとも思わない音楽が強烈に突き刺さってきたり、 いつだか思い出せないが、ある時のマヘルのライブの1曲目にやった「Miserable Man」のように、 普段から聞いているけれど、その瞬間に自分でも理解できない、 形容しがたい感動が襲い掛かってきたり、そんな一瞬の煌めきが音楽にもある。

 自分は社会に向いていない、理由もなくそう考えることが多い。  自虐(あるいは丁寧な暮らしも)は露悪的になりすぎることがあるけれど、 駄目なところをさらけ出すのが人間であり、人間味でもある。  現状職も決まりそうにない、暗澹たる気持ちで押しつぶされそうだけれど、 とりあえず2021年6月4日(土曜日)に、二度目の自主企画「母恵夢」を横浜でする。 この先何があろうと、それだけはやると決めている。  出演者も会場も何も決まっていない。 スタートにも立っていない。 でもやるときめたのだからやるんです。 名状しがたいなにものかのために、あるかもわからない一瞬のために、 そのためだけに企画をする。  誰かの人生のうちの、ほんの一瞬でも、煌めきとして残りたいから。

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しろしろ 無職。 まだTinderで消耗している。 「母恵夢」というライブを企画しています。